私の隣組には
幼児や老人達がたくさんゐるが、物資の不足といふ一点をのぞけば爆撃に対しては不感症の如く洒々としてゐる。
あるはまた落日のなかに笑へるロマンチツシユの音楽と
幼児磔殺の前後に起る心状の悲しき叫也。
私の隣組には
幼児や老人達がたくさんいるが、物資の不足という点をのぞけば爆撃に対しては不感症の如く洒々としている。
加之、識る人も識らぬ人も酔うては無礼の風俗をかしく、朱欒の実のかげに
幼児と独楽を廻はし、戸ごとに酒をたづねては浮かれ歩るく。
わたくしは、このあどけない
幼児に別れるとき、ひそかに祈ったのである。
さうかと思ふと、仏蘭西の女の兵隊と独逸の兵隊とが対峙してゐる、独逸の兵隊は虜にした
幼児を楯にして控へてゐる。
)けれども
幼児だつたクリストに対する彼等の憐みは多少にもしろ、デカダンだつたクリストに対する彼の同情よりも勝つてゐる。