それから、俊夫君は細工台の上の物や、細工台についている
引き出しの中のものをいちいち丁寧に検べました。
大学の夏期講習に
引き出しに行つたのだが、——大して物事の判断に「おつかなびつくり」を用ゐぬらしい、大戯作者は、実に潔く、「出ますとも」と承引して下された。
それから一度右手を引いたが今度は指を投函口の中へ出来るだけ深く突込んで、根気よく中を探る様子、暫くして指を
引き出し、今度はまたポストの口を丹念に覗き込んだ。
それよりも、私は、第一に、性格のコントラストから生れる世の中の可笑味を、なるだけ手近な例のなかから
引き出して来ようと努めたのです。
云ふまでもなく、アントワアヌはその勲章を種に、ある男から莫大な金を
引き出したのである。
人の顔は画家の心の中から画家自身すら気づかずにゐたいろ/\の美的要素を
引き出し、生かしてくれる。
煙草入のかますから、前夜隣家から借りて切り抜いて取っておいた新聞の一片——そこには無論、昨日の勝負が掲載されてあった——を
引き出して、彼は熱心に眺め入った。
スルと其時、カ翁は「多くの友人から其批評を聞きます」と言ひながら、書架より希臘語辞典を
引き出して其「デモス」の語を説明して呉れた。