「まあ見たまえ」と、ワイルドの『デ・プロフンディス』や、Kさんの大好きなスウィンバアンやアーサア・シモンズの詩集の下から
引出して、僕の手に渡してくれた。
こゝから教訓を
引出したい人はどんな教訓でも引出すがいゝ。
「そんな端金が、どうなるものかね」と、いいながら、今度は自分で、やけに
引出しを引掻き回した。
一度家の方を振返って見て、女房の姿が見えないのを確かめると彼はその紙幣をくしゃくしゃのまま
引出して煙草入のかますへ押し込んだ。
余は此点に於て余の論旨を明かにする為に、西行をもウオーヅオルスをも芭蕉をも
引出して、証人に使ひたるなり。
その夜、故郷の江戸お箪笥町
引出し横町、取手屋の鐶兵衛とて、工面のいい馴染に逢って、ふもとの山寺に詣でて鹿の鳴き声を聞いた処……
宿では、千本から漬けるのだと云ふ來年の澤庵の仕度も出來、物置きから雲がこひの戸板など
引出して、毎日山をくだる準備に忙がしかつた。
紙の古きは大正六年はじめて萬年筆を使用されし以前に購はれしものを偶々
引出して用ひられしものと覺しく、墨色は未だ新しくして此の作の近き頃のものたる事を證す。
「猿股の紐通し機械を売る婆さんは、猿股へ紐を通しては
引出し、また通しては
引出している。