かういふことも有るかも知れぬといふことを思ひ当つた様子で、素直な
往生であつたといふ。
「生縄のお鉄は男の捕物に掛けては天下一で、あれに捕ったら
往生だ。
妙なもので、そうしたことが度重なると、「あの先生にかかると、誠に楽な
往生が出来る」という評判が立ち、却って玄関が賑かになると云う有様になって参りました。
胃袋へ嚥み下したところで足長蜂や蜜蜂であったなら、間もなく
往生しようが、大きな熊蜂であると、軽くは死なぬ。
そうして、そのことを気にして悩みふけって死んでしまったが、そのために
往生を遂げることが出来ず、いまだに妄執を地上にとどめて迷っている。
どうかすると、毎日のように夕だちが降って、そのたんびにきっとごろごろぴかりと来るんですから、雷の嫌いな人間はまったく
往生でした。
食ひものはどこへたどり着いてもホツキ貝ばかり出されるのに
往生した。
死んで行くおかん自身でさえ、段々消えて行く、狭霧のような取とめもない意識の中で、自分の
往生の安らかさを、それとなく感じた位である。
些と御祕藏の呉道子でも拜ませて、
往生をさせてお遣んなさいまし。