往還よりすこし引入りたる路の奥に似つかぬ幟の樹てられたるを何かと問へば、酉の市なりといふ。
まことに、野越与里、野越総江の口論は、恰も村の
往還を日日通ふ幌馬車のやうに、律儀頑固な鉄則を以て定められた晴れたる朝の合唱であつた。
それもやがて杜絶えて、一筋の
往還がまつたく蕭々たる初冬の象徴の様に茫漠とした田甫なかに来しかたはるかに、行く手果てなく続くのでありました。
其重苦しい沈黙の中に、何か怖しい思慮が不意に閃く様に、北のトツ端の倒りかかつた家から、時々パツと火花が
往還に散る。
五間幅の
往還、くわツくわと照る夏の日に、短く刈込んだ頭に帽子も冠らず、腹を前に突出して、懐手で暢然と歩く。
この境内に一条の山径あり、高輪より二本榎に通ず、近きを択むもの、こゝを
往還することゝなれり。
が、その代り、夕方にさへなれば必らずどこか
往還のはづれに灯影がさして、笑ひ声や唄声が遠くまでも聞え、*バラライカや、時には※イオリンの音までが漂うて来る。
彼は片手で絃を掻き鳴らしながら、それにあはせて足拍子をとつて
往還を進んでゆく。
其重苦しい沈默の中に、何か怖しい思慮が不意に閃く樣に、此のトッ端の倒りかゝつた家から、時時パッと火花が
往還に散る。