顔はダアワという名前の
通り、(ダアワは月の意味である。
たまたまこの家の前を
通りかかった、髪の毛の長い画学生は細長い絵の具箱を小脇にしたまま、同じ金鈕の制服を着たもう一人の画学生にこう言ったりした。
見上げると、高い石の橋欄には、蔦蘿が半ば這いかかって、時々その間を
通りすぎる往来の人の白衣の裾が、鮮かな入日に照らされながら、悠々と風に吹かれて行く。
私はいつもの
通りランプの前にあぐらをかいて、漫然と書見に耽っていると、突然次の間との境の襖が無気味なほど静に明いた。
が、間もなく「新思潮」が廃刊すると共に、自分は又元の
通り文壇とは縁のない人間になってしまった。
信子はしかしそれに気がつくと、必話頭を転換して、すぐに又元の
通り妹にも口をきかせようとした。
だから出席簿をつけてしまふと、早速毎時もの
通り講義にとりかかつた。
(谷崎潤一郎は人も知る
通り、奇抜な「話」の上に立つた多数の小説の作者である。