後の人は其処へ残ったけれども、見る見る自分たちの一行の半分は逆落しになって深い深い谷底へ落ちて行くのを目にしたその
心持はどんなでしたろう。
しかし、今でも、過去における苦痛と不快との記憶は、ともすれば彼の心に蘇って、彼の幸福な
心持を掻きみだしていった。
が、それは、彼ののうのうとした
心持を曇らすには足りなかった。
その縄手を越えて、仕置場の前を通りぬけて、大森の入口へ差しかかるのですから、昼は格別、夜はどうも
心持のよくない所です。
爪のない猫! こんな、便りない、哀れな
心持のものがあろうか! 空想を失ってしまった詩人、早発性痴呆に陥った天才にも似ている!
そしてその思いにも落ちつき、新しい周囲にも心が馴染んで来るにしたがって、峻には珍しく静かな
心持がやって来るようになった。
北海道馬の驢馬に等しきが二頭、逞ましき若者が一人、六人の客を乗せて何処へともなく走り初めた、余は「何処へともなく」といふの
心持が為たのである。
わたしは好い
心持になって先ずからだを湿していると、隅の方に浮いていた黒い頭がやがてくるりと振り向いた。
その上僕なぞはそんな話を聞かされると、しみじみ露西亜へ帰つて来たと云ふ
心持がする。
恐らく私が今ここで、過ぎ去ろうとする時代を嗤い憐れんでいるように、お前たちも私の古臭い
心持を嗤い憐れむのかも知れない。