秀吉は茫然自失、うなだれたと思ふと、ギャッといふ声を立てゝ泣きだした、五分間ぐらゐ、天地を忘れて
悲嘆にくれてゐる。
処が、わたしが教育した女が、少しの才能もなく、少しの美しさもなく、そして、その女が、わたしの人生観を根柢から覆したと思ふ時、わたしは
悲嘆にくれた。
此人生や自然はどんな人にも感激を与え慰藉を与えまた苦痛や
悲嘆を与えている。
然るに、其日未時下り、名主塚越弥左衛門殿母儀検脈に参り候所、篠娘死去致し候由、並に篠、
悲嘆のあまり、遂に発狂致し候由、弥左衛門殿より承り候。
君は先年長男子を失うたときには、ほとんど狂せんばかりに
悲嘆したことを僕は知っている。