見送ってくれるような
愛人を持たない人は、せめて告知板に、
男はその
愛人に向つて私は色魔ですと言つてゐました。
そのくせ彼女は自分が太郎さんの
愛人であることを無批判に前提とし、自分の恋心に就ても毫も疑ひを持たなかつた。
私は家人(これは女房ではなくて、
愛人である)に言い渡してあるのである。
まるで私の身辺小説、何か
愛人があつてその人との何かのやうな書き方であるが、全然ウソ、私小説ではない。
自分の夫に新しい
愛人ができたとき、その家へ、元からの妻が自分の身内をかたろうて攻めかけて行き、家へ乱入し、その家の道具をめちゃめちゃにしてくる。
あるいは己の愛している女に、それほどまでに媚びようとするあの男の熱情が、
愛人たる己にある種の満足を与えてくれるからかも知れない。
こうして、彼女はわたくしの
愛人になったのであります。
愛人の容色が衰へたのではなくて、何か魔物が來て
愛人の魂を啄んで、代りにそのなきがらの中に住んでなきがらの眼や手足を動かして居るのです。