私はそれをマラルメから
掴み出すことができるであらうか? 私はマラルメを愛し、彼を全ての人の上に置いてゐた。
小説家と違って本当の探偵だけに、いつでも
掴むのがうまい。
ガチャーンと大きな音がして、硝子には大孔が明いたが、すかさず手を入れて九万円の金塊を
掴むと、飛鳥のように其の場から逃げ去った。
ぴしぴしとそだを折って中にさしこみ、それから机の引出をあけて
掴み出した古フィルムをそだの間に置いて炉の中に突込み、そして火のついた燐寸の軸木を中に落とした。
これを
掴む時には、投身する前の覚悟も、助けられた後の後悔も心には浮ばない。
だが、二年もぶらぶら遊ぶことになると、その間に独学ででも文学をやるとしたら、何か
掴むところがあるだろうと思った。
省線電車の中に並んだ女達が慎ましく膝の上に揃えた指、乗合自動車の吊り革を
掴む女達の指。
落花の黒髮にかゝる風情、袂や裾に散る趣きも、今では皆がいきなり手を出して
掴むぐらゐな意でゐる。