痩せ男はこの着物の中に、傲慢不遜なあぐらを
掻くと、恬然と煙草をふかし始めた。
御存じでもあろうが、あれは爪先で刺々を軽く圧えて、柄を手許へ引いて
掻く。
と、さすがの三角定木も、こうなると頭を
掻くより他わありません。
此の軽いものを戦がすほどの風もない、夏の日盛の物静けさ、其の癖、こんな時は譬ひ耳を押つけて聞いても、金魚の鰭の、水を
掻く音さへせぬのである。
次には櫛なり、差櫛、梳櫛、洗櫛、中櫛、鬢掻、毛筋棒いづれも其一を
掻くべからず。
しばらく見ていると、その青蛙はきまったように後足を変なふうに曲げて、背中を
掻く模ねをした。
私の脛へひやりととまったり、両脚を挙げて腋の下を
掻くような模ねをしたり手を摩りあわせたり、かと思うと弱よわしく飛び立っては絡み合ったりするのである。
鼠が壺をバリバリ引つ
掻くとか、自身で火掻棒につまづくとかすると——さあ大変だ! 魂は踵のなかへ飛びこんでしまふのぢや。
掘り出しかたが非常に早く、前脚で
掻くと後脚で蹶る。
客が何と云はうが、彼と云はうが、如何ばかりの黄金をふりまかうが、舟を出すべからざる時には、出し申さずと、子供扱ひにせられて、覺えず頭を
掻く。