そのなつかしい気持ちの底には強くて鋭いものに対する稚純な
敵意よりもなほさら私のこゝろにふかく沁みついてゐる刈萱の穂の銀灰色の虚無的な寂しい風趣なのである。
また犬もだんだん子供を愛すようになり、もう
敵意はなくなったので、これも安心であった。
勿論彼は
敵意を見せはしなかつたのですが、言明をさける風が私の場合の唯一の態度であつたのです。
レシイナを見たこの男の眼は、幸福又は平和に対する
敵意であつた。
けれども房枝は、直ぐに「青蘭」の二階の気配に気づいてか、キッと
敵意のこもった顔をこちらへ向けると、そそくさと立上って窓の硝子戸をぴしゃりと締めてしまった。
深く蒼味がかった真佐子の尻下りの大きい眼に当惑以外の
敵意も反抗も、少しも見えなかった。
保吉はこの宣教師に軽い
敵意を感じたまま、ぼんやり空想に耽り出した。
が、彼等も一瞬の後には、また以前の沈黙に——
敵意を蔵した沈黙に還らなければならない事が出来た。
君に対して頗る礼を失するかも知れぬが、現になお雪江さんに対して、強い愛着の念を持って居る僕が、雪江さんの良人となる君に、どうして
敵意を挟むことが出来よう。
また電車のなかの人に
敵意とはゆかないまでも、棘々しい心を持ちます。