ふと行燈に蟷螂でも留ったとする……眼をぎょろりと、頬被で、血染の
斧を。
やがて浴室の煙突からは白い煙が立上り、薪を割る
斧の音が辺の樹海に冴え冴えと響き渡る。
頽雪が岩を削る力は恐ろしいもので、岩の凹みを削って谷となし、谷を掘って峡となし、永い年月働く自然の
斧は、表日本側へ深い峡谷を刻んでいっているのである。
然れども想像的鬼神の輸入あると共に一方に於ては、万葉時代に行はれたる単純なる、「自然力」に対する恐怖を、其心外無法の
斧を以て破砕したり。
先生今「鏡花全集」十五巻を編し、巨霊神
斧の痕を残さんとするに当り我等知を先生に辱うするもの敢て※劣の才を以て参丁校対の事に従ふ。
——海軍機関学校の教官となり、高浜先生と同じ鎌倉に住みたれば、ふと句作をして見る気になり、十句ばかり玉
斧を乞ひし所、「ホトトギス」に二句御採用になる。
果然、在來の倫理思想の根本に恐るべき
斧を下してゐるのが、彼等の學校で、其授業時數の大多數を擧げて教へてゐる科學教育そのものであることを知らなんだのである。
私は草を敷いて身を横たえ、数百年
斧の入れたことのない欝たる深林の上を見越しに、近郊の田園を望んで楽しんだことも幾度であるかわかりませんほどでした。
横になるや否や、
斧と大きな薪の束を脊負うて道をたどって来る人があった。