自分たちは外套の肩をすり合せるようにして、心もち足を
早めながら、大手町の停留場を通りこすまでは、ほとんど一言もきかずにいた。
修理の神経衰弱は、この周囲の無理解のために、一層昂進の度を
早めたらしい。
月が明るいので見失う虞れはないと、元八も最初はわざと遠く距れていたが、往来へ近づくに従って彼は足を
早めた。
自分たちの組屋敷まではもう二、三丁に過ぎないので、ふたりは別に不安を感じることも無しに、片手に提灯を持ち、片袖は胸にあてて、少し俯向いて、足を
早めて来た。
ここで降り出されては困ると思って、三人はすこし足を
早めて下山の路にさしかかると、何を見たかお袖は俄かに立ちどまった。
こんな話をしながら、ふたりは足を
早めてゆくと、やがて新屋敷にたどり着いた。
隠してしまうには惜しいくらいな明眸皓歯のりりしい男まえを深々と天蓋におおって、間道を今度こそは板橋口へ一刻を争うように足を
早めました。
彼がしかしすぐに顔を前に戻して、眼ざしている家の方を見やりながら歩みを
早めたのはむろんのことだった。
そして、それを
早めたことが、実際ロシアの民衆にとって、よいことであったか、悪いことであったかは、遽かに断定さるべきではないと私は思うものだ。
彼は二品をおづおづ主人の枕元へ押し並べると、思ひ出したやうに又、口を
早めて、専念に称名を唱へ始めた。