「時によりますと夜、あなたが秦皮樹の
杖を持つて、本をよんでお出になりますと、私は戸の外に不思議な物を見ることがございます。
と帆村は大地に両足を踏んばり、洋
杖をあげてアパートの三四階あたりを指した。
二三歩いってはキョロキョロ前後を見廻わし、また二三歩いっては耳を傾け、それからまたすこし行っては洋
杖でもって笹の根もとを突いてみたりするのであった。
わたしは路ばたの天水桶の後に、網代の笠や
杖を隠した上、たちまち高塀を乗り越えました。
』で、まだ三月三日にもなりませんのに、法師を独り後に残して、喘ぎ喘ぎ念仏を申しながら、竹
杖をつく間もまだるこしそうに急いで逃げてしまいました。
※さしもに猛き兵助が、切れども突けどもひるまぬ悪党、前後左右に斬りむすぶ、数カ所の疵にながるる血潮、やいばを
杖によろぼいながら、ええ口惜しや——。
身には破れた古袷をきて、その上に新らしい蓑をかさねて、手には海苔ヒビのような枯枝の
杖を持って素足でぶらぶらと迷い歩いている。
試しに
杖をあげて見るとささくれまでがはっきりと写った。
かれは持っている烟管を握って、
杖をつく形をしてみせた。
日の光にむせるような声で、こう言うと、老婆は、
杖をひきずりながら、二足三足あとへ帰って、まず口を切る前に、上くちびるをべろりとなめて見せた。