中の島の岸
杭がちょっと虫ばんだように腐ったところへ渡り鳥のふんらしい斑がぽっつり光る。
木
杭よりもなおおそまつに焼屍体を投げころがす人々。
言問から渡しに乗って向島へ渡り、ドテをぶらぶら歩いていると、
杭にひっかかっている物がある。
三方崩れかかった窪地の、どこが境というほどの
杭一つあるのでなく、折朽ちた古卒都婆は、黍殻同然に薙伏して、薄暗いと白骨に紛れよう。
けれどもこの朝の百本
杭は——この一枚の風景画は同時に又本所の町々の投げた精神的陰影の全部だつた。
けれどもこの朝の百本
杭は——この一枚の風景画は同時に又本所の町々の投げた精神的陰影の全部だった。
ところが、その蝋燭が馬鹿に重いので、こいつは変だなと云って、人足のひとりがその一本をそこらの
杭に叩き付けてみると、なるほど重い筈だ。
昔の芝居は殺し場などに多田の薬師の石切場と一しよに度々この人通りの少ない「百本
杭」の河岸を使つてゐた。
家を出て椎の若葉におおわれた、黒塀の多い横網の小路をぬけると、すぐあの幅の広い川筋の見渡される、百本
杭の河岸へ出るのである。
内地ならば庚申塚か石地蔵でもあるはずの所に、真黒になった一丈もありそうな標示
杭が斜めになって立っていた。