私たち二人は、その晩、長野の町の一大
構の旅館の奥の、母屋から板廊下を遠く隔てた離座敷らしい十畳の広間に泊った。
顏は奈何でも
構はぬが、十八歳で姿の好い女、曙色か淺緑の簡單な洋服を着て、面紗をかけて、音のしない樣に綿を厚く入れた足袋を穿いて、始終無言でなければならぬ。
それが彼の顔を見ると、算盤を竪に
構へたまま、にこりともせずに返事をした。
若し真面目に
構へようとすれば、五六冊のクリスト伝は容易にこの役をはたしてくれるのである。
私は、それが石地藏で、今のが姑護鳥でも
構ひません。
いや又雨が降らうが、風が吹かうが、そりや何もお天氣次第ぢや、此方の
構ふこツちや無いてな。
此の景色の中を、しばらくして、門の柳を潛り、帳場の入らつしやい——を横に聞いて、深い中庭の青葉を潛つて、別にはなれに
構へた奧玄關に俥が着いた。
家名も何も
構はず、いま其家も閉めようとする一軒の旅籠屋へ駈込みましたのですから、場所は町の目貫の向へは遠いけれど、鎭守の方へは近かつたのです。