時は初秋、一味清涼の秋風が空には流れても、山間の雑木林にはささ栗の
毬がまだ青く揺れてゐる頃であつた。
澄子と呼ぶ二十を越したばかりのその女店員は、小麦色の血色のいい娘で、
毬のようにはずみのいい体を持っていた。
別荘——といっても、二昔も以前に建てられて、近頃では余り人が住んだらしくない、古めかしい家の中から、一人の百姓女が
毬のように飛出して来た。
ぴゅうぴゅうと北極からでもやってくるような寒風が、雨戸の隙間から遠慮もなく吹き込んで、子供らは眠りながらもしだいに
毬のようにちぢかんでいる。
この虻の大きな図体の上に馬乗りになり、肢でも首でも尻でも身体全体で抱へ込むやうにし、攻撃を加へながら
毬のやうになつて落下して来たのである。
昔も今も変りませんのは、御婦人は春羽根をつき
毬をついてお遊びなさいます。
産婆は
毬でもつくようにその胸をはげしく敲きながら、葡萄酒葡萄酒といっていた。