松浦川もまた養母田にて波多川の水と合し、夕日山の麓にそひ、幾多雅趣ある中洲をめぐり来り、満島の岸を洗ひ、舞鶴城の残趾を噛みて、つひに松浦潟に
注ぐ。
西南へ下れば天龍峡となり、東北へ行けば、金森山と卯月山との大渓谷へ出るという郷で、その二つの山の間から流れ出て、天龍川へ
注ぐ法全寺川が、郷の南を駛っていた。
Uの眼つきは、殊に私に
注ぐ眼つきは、なんとも云へない悲しい色にみちてゐる。
在来の劇団が殆ど顧みなかつた此の一点に、諸君が力を
注ぐか注がないかは、諸君が、「今迄のもの」より以上に出るか出ないかの問題である。
僕は、此の書を訳しながら、あなたが、あなたの心の上に
注ぐ涙を、同じく、僕の心の上に注ぎ得たことを悦ぶ。
「心理的飛躍に伴ふ言葉の暗示的効果」——これは、戯曲の存する限り、総べての劇作家が心血を
注ぐべき一点である。
殊に女は赤子の口へ乏しい乳を
注ぐ度に、必ず東京を立ち退いた晩がはっきりと思い出されたそうです。
厳かな宣告のようにこういい放ち、匙で三杯、オレフ油を蔬菜の上に撒き
注ぐときには、教師は再び横柄で、無雑作で、冷淡な態度を採上げていた。
否、その時すでに水底では、静穏な水面とは反対に、暗黒の地下流に
注ぐ大きな瀑布が始まっていたのだ。