而も、われ/\の精神内容は、一日百個のはやり語を歓迎するだけの余裕と、
渾沌とを残してゐる。
けれど、一元
渾沌の時代を推論し得る者には、さのみ、むつかしい問題ではない、といふかも知れぬ。
單に外來のみなる淨土教の釀す雰圍氣ならば、理想偏愛の一邊に墮ちるし、老莊思想のみならば現實分析の極の
渾沌である。
今日世界の現状は政治、経済、思想各方面とも
渾沌として帰向するところをしらない。
そして悉くが雪に封じ込められた、
渾沌とした靜寂の中に、杉山から引いた桶の水ばかりが、鼕々と云つた音を立てゝは落ちてゐた。