虫の入った木のように、ポトポトと音のする
湿っぽい匂いのするものは悪いかつおぶし。
丁度あの日は、嫌に
湿っぽい、とても陰気なお天気でございました。
びしゃびしゃ……水だらけの
湿っぽい井戸端を、草履か、跣足か、沈んで踏んで、陰気に手水鉢の柱に縋って、そこで息を吐く、肩を一つ揺ったが、敷石の上へ、蹌踉々々。
そして、
湿っぽい林道の両側には熊笹の藪が高くなり、熊笹の間からは闊葉樹が群立して原生樹林帯はしだいに奥暗くなっていった。
その時、
湿っぽい風が吹いてきて、夏ながらぞっとするような感じを喚び起こしました。
その上に、ここは私が前に見たよりも荒涼陰惨というべき場所で、両側には峨峨たる
湿っぽい岩石ばかりがあらゆる景色をさえぎって、わずかに大空を仰ぎ観るのである。
五重の塔は
湿っぽい暁の靄につつまれて、鳩の群れもまだ豆を拾いには降りて来なかった。
日光の射さない、
湿っぽい木蔭に、霧にぬれている姿は、道ばたの石の間から、伸び出て咲いている雪のような梅鉢草の花と共に、何となく深山の情趣を漂わせます。
部屋へ引返して雨仕度をして出ると、近所の家々の軒にかけられた国旗が
湿っぽい夜風にゆるく靡いている。