私もちかごろは老眼の兆あらわれ、夜になると視覚が
狂い、直視すると目が痛い。
遠い方角というものは、思いもよらない見当違いをしがちであるが、十日前にも火の手を見たから、熱海の方角に
狂いはない。
手前どもの道場に於きましても、怪しき経文を唱えて踊り
狂い、説教など致しまして、ほとほと困却いたしましてござります。
こんなに幼くて、
狂いなく安定した善意というものは、実人生にはないかも知れないが、文学には有りうるし、そしてそのために人間にとって文学が必要なものでもある。
そこで和尚は回向を始めるのであるが、回向のうちに、老婆はありし日の青春の夢を追い、ありし日の姿を追うて恍惚と踊り
狂い、成仏する、という筋なのである。
この肥った客の出現以来、我々三人の心もちに、妙な
狂いの出来た事は、どうにも仕方のない事実だった。
山の中があんまり寂しいので、気が変になって、犬が
狂い出したのだと、りょうしは思ったのでしょう。
「『ね、もう一度ままごとをしようよ』こう云って市中を
狂い廻るなんて、おお厭だ、恥ずかしいことね」
書く手に
狂いがないばかりか、書かれた文字にも乱れがない。
と同時にまた、眼の下に見えていた船乗りたちのいわゆる
狂い波(3)が、急速に東の方へ流れる潮流に変りつつあることに気がついた。