それを享樂しつゝ、しばらくつぶつてゐた眼を開くと、門内の前庭に焔を洗つたやうなカンナの花
瓣が思ふさまその幅廣の舌を吐いてゐた。
質の好い鰹ぶしを濃かにかいて煮だし汁をとり、それよりもなほ一層濃やかに細い花
瓣を盛つた樣にかき重ねた鰹魚ぶしをその煮だし汁に一つまんまるく落した餅の上に積む。
人間の手の五本の指は都ハルレムの花壇にかつて咲いた色珍らしい五
瓣のにほひ阿羅世伊止宇。
兩側に大藪があるから、俗に暗がり坂と稱へる位、竹の葉の空を鎖して眞暗な中から、烏瓜の花が一面に、白い星のやうな
瓣を吐いて、東雲の色が颯と射す。