尤もそれより口の悪い誰彼は、良秀の立居振舞が猿のやうだとか
申しまして、猿秀と云ふ諢名までつけた事がございました。
出る杙が打たれて済んで御小普請、などと
申しまして、小普請入りというのは、つまり非役になったというほどの意味になります。
何でも私の覚えて居ります限りでは、若殿様が十五六の御年に、もう御二方の間には、御不和の芽がふいていたように御見受け
申しました。
いや、どちらかと
申しましたら、天上しないと
申す方がまだ確かだったのでございましょう。
そうそう、そのなかに小女郎狐という変った事件がありましたから、お話し
申しましょう。
尤もそれより口の惡い誰彼は、良秀の立居振舞が猿のやうだとか
申しまして、猿秀と云ふ諢名までつけた事がございました。
「ええ、めっそうな、しかし申しわけのためばかりに、そのことも
申しましたなれど、いっこうお肯き入れがござりませんので」
わたしの家と
申しましても、三度目の火事に遇つた後は普請もほんたうには参りません。