王「イヤ先日は
癇が起つて居つた処へ、其方が逆らつたものだから、詰らん事を申して気の毒に心得、出牢をさした、其方が入牢中に一詩作つたから見て呉れ。
不断優しい多可子が突然の驚きと、政枝を救いたい一心とで絞り出した
癇高な鋭い声が、逆上した政枝の耳にも強く響いた。
その証拠には、かの馬の声のきこえた翌日は、どこの馬もみな
癇高になって物におどろき易くなる。
如何にも其様な悪びれた小汚い物を暫時にせよ被ていたのが
癇に触るので、其物に感謝の代りに怒喝を加えて抛棄てて気を宜くしたのであろう。
私はその
癇高い音を聞きながら、埃にまみれた草鞋の紐を解いた。
それは、見事な
癇高いうなり声をあげて回転する独楽のように、そこら中を、はげしくキリキリとはねまわった。
それをとうとう売らせたのは英吉と申すわたしの兄、……やはり故人になりましたが、その頃まだ十八だつた、
癇の強い兄でございます。
彼は寝たり起きたりしながら、だんだん
癇ばかり昂らせて行つた。
君は少しふきげんそうな、口の重い、
癇で背たけが伸び切らないといったような少年だった。