大昔の低地は原始林でもあるし洪水の起り易い沼沢地帯でもあって毒虫猛獣の害も多く、それに比して山岳地帯の
盆地の方が居住地としての安全率が高かったのであろう。
釜無川は韮崎付近までは冷たいまま流れてくるが、
盆地へ出ると急に水が温んでしまう。
三国、大源太、仙ノ倉、万太郎の山々に四方を取り巻かれ、西川と赤谷川との合流が眼の下を流れている
盆地であった。
総じて京都のやうな、山に囲まれた狭い
盆地の中を川が流れてゐる処では、山手に限らず市中でも、少しばかり土を掘り抜くと水のふき出る場所が多いのである。