且、文庫屡ば御寄贈を辱うし奉謝候貴兄の批評は大に愛読いたし居候
益々御尽力あらんことを祈り申候例の乱筆御ゆるしを乞うの外なく候不一
よしや一斗の「モルヒ子」に死なぬ例ありとも月夜に釜を抜かれぬ工風を廻らし得べしとも、当世小説の功徳を授かり少しも其利
益を蒙らぬ事曾て有るべしや。
又滝川左近将監一
益も、武蔵野に於て、北条左京大夫氏政と合戦中であったが、忽ち媾和して、尾州長島の居城に帰った。
いや、そう云う内にも水嵩は
益高くなって、今ではとうとう両脛さえも、川波の下に没してしまった。
古は先生の胸中に輳つて藍玉愈温潤に、新は先生の筆下より発して蚌珠
益粲然たり。
爾来予の明子に対する愛は
益烈しきを加へ、念々に彼女を想ひて、殆学を廃するに至りしも、予の小心なる、遂に一語の予が衷心を吐露す可きものを出さず。
もし旅行を仕て真実に自然に接したり野趣の中に身を※いたり、幾分かにしろ修業的に得
益しようと思ったなら、普通の旅行をしても左程面白い事は有りますまい。
さるほどに、山又山、上れば峰は
益累り、頂は愈々聳えて、見渡せば、見渡せば、此處ばかり日の本を、雪が封ずる光景かな。