平俗な名利の念を離れて、暫く人事の匆忙を忘れる時、自分は時として
目ざめたるまゝの夢を見る事がある。
東京のビジネス・センター有楽町に事務所をもつ有名な青年探偵の帆村荘六も、この騒ぎのなかに、旅館の蒲団の中に
目ざめた。
所謂、自我に
目ざめたブルジョアジーの世界観から来ている。
ある朝、グレゴール・ザムザが気がかりな夢から
目ざめたとき、自分がベッドの上で一匹の巨大な毒虫に変ってしまっているのに気づいた。
しかし生命に
目ざめたる者はまず自己の享けたるいのちの宇宙的意義に驚くことから始めねばならぬ。