月東山を離るといふの句は詞客の套語となれりといへども、実は水に近き楼台の先づ清輝を
看るを得るの多趣なるに如かず。
用事もあるにはあつたが、その傍ら噂に聞くのみであつた数度に亘る空襲の被害をこの眼でちやんと
看ておきたかつたのである。
僕は最近、はからずも屍体解剖を
看るの機会を持った。
「君が若し北支に派遣されたとしたら、どういふところを一番
看て来たいと思ふか?」
ことし五十を二つ三つ越えて商売馴れている孫十郎は早くもそれを
看て取った。
わたくしはあの狂言を
看るたんびに、いつも思い出すことがあるんですよ」と、半七老人はつづけて話した。
親しい医者に戻るなり
看て貰うと、医者はそれごらんなさいといった顔をして、
余は余りに彼等が言ふ所の一致するを
看て、之を群馬、栃木、埼玉等此の件に関かれる県下警察の為めに、痛惜せずんばあらず。
片隅へ身を寄せて、上り框のところへ手をつき乍ら、何か低い声で物を言出した時は、自分は直にその男の用事を
看て取った。