平板な嫌ひはあるがその落ちついた
筆致は作者がともかくあるところまでゆきついた人であることを思はせる。
幸田露伴にも『枕頭山水』の名作があり、キビキビした
筆致で、自然でも、人間でも、片っぱしからきめつけるような犀利な文章を書いている。
文勢
筆致に注意しない人の翻訳は、文章晦渋にして殆と読むに堪へぬ、読で面白くないばかりでなく、実際其意義を解することすら出来ぬ恐れがある。
その他筋の運び方、描写の
筆致など、どの点にも間然する所がない。
私は、その
筆致に、どこやらヂッケンスを偲びましたが、ヂッケンスの自然描写にも、遙かに、絵にまさるものがあったように思います。
雄渾な
筆致で、お描きになっていられるところを拝見していると、こちらの手先にまで力がはいるくらいに荒いお仕事ぶりであった。
司馬遷の粗笨なる頭腦と、豪放なる
筆致とは、記載せざるべからざる事項をも省略し、明確とせざるべからざる事項をも曖昧にして居る。