昨日買っていただいた読本の
字引きが一番大切で、その次ぎに大切なのは帽子なんだから、僕は悲しくなり出しました。
下に掲げるのはこの文放古を一
字も改めずに写したものである。
最後に直之は武芸のほかにも大竜和尚の会下に参じて一
字不立の道を修めていた。
ただ鮨屋に鰻屋を兼ねた「お」の
字亭のお上の話によれば、色の浅黒い、髪の毛の縮れた、小がらな女だったと言うことです。
黄色い芭蕉布で煤けた紙の上下をたち切った中に、細い
字で「赤き実とみてよる鳥や冬椿」とかいてある。
が、彼が文科の学生だと云う事は、制服の襟にあるLの
字で、問うまでもなく明かだった。
ある個所に來ると心ある讀者は一
字々々にしがみ附かないではゐられなくなる。
さう云へば遺書の文
字さへ、鄭板橋風の奔放な
字で、その淋漓たる墨痕の中にも、彼の風貌が看取されない事もない。
長男も不思議に井月にだけは、酒を飲ませたり
字を書かせたり、機嫌の好い顔を見せてゐた。
その緑が縦にMの
字の形をしてとぎれとぎれに山膚を縫ったのが、なんとなく荒涼とした思いを起させる。