久保田君の主人公はチエホフのそれよりも哀婉なること、なお日本の刻み煙草のロシアの
紙巻よりも柔かなるが如し。
気がつくと、銜えていた
紙巻煙草の火が、いつの間にか消えていた。
と、田毎大尉は、啣えていた
紙巻煙草をぽんと灰皿の中になげこむと、当惑顔で名刺の表をみつめた。
そういいながら、紳士はポケットから
紙巻煙草を一本抜きだして口に銜えると、シュッと燐寸を擦って火を点けた。
柴谷は大いに喜んで、
紙巻煙草を一本取って、警部のライターで火をつけた。
それから彼の手が忙しくポケットをさぐって、
紙巻煙草とライターを取出した。
火鉢の灰の中に散らばる
紙巻煙草の吸殻を朝顔の散り花のやうだといへば香ひがつく。