「まあ、およしなさいよ、遺言なんて、
縁起でもない、鶴亀鶴亀」
「ええ、これは禍を転じて福とする代りに、福を転じて禍とする、
縁起の悪い聖母だと云う事ですよ。
流れて居ればこそ、君の結婚に対して無関心では居られなくなり、頭脳を搾って、
縁起のよかるべき名をもった、この贈り物を考え出したのである。
此は言うまでもなく、家の名が九鬼である事から、それによって
縁起を祝って、家の名に関係のあるものを逐い却ける様な事は一切しない事になったのでしょう。
ところで、物語を始めるに先立って、寺院の
縁起を掻い摘んで述べておくことにしよう。
長「真暗だから見えねえや、鼻ア撮まれるのも知れねえ暗え処にぶっ坐ッてねえで、燈火でも点けねえ、
縁起が悪いや、お燈明でも上げろ」
然れば平日然までに臆病ならざる輩も、船出の際は兎や角と
縁起を祝ひ、御幣を擔ぐも多かり。