一望千里の田野を
縫う賽の目のような月水濠は、すっぽんとともに優良などじょうを産する。
ヘ てんまく 緋羅紗(白羅紗の物もある)に武者・龍虎・鳳凰など
縫うた物。
だからその間を
縫う水の面も、川幅の割には広く見えない。
それゆゑ太郎の着物の綻びも
縫うてやるひまがありません。
この水流に架かる十筋の橋々を
縫うように渡り検めて、私は流の上下の河岸を万遍なく探してみた。
まるで洪水のような見送人の群で、傘、傘、傘、人、人、人の隙間を
縫うて、私はSの姿を探し求めた。
彼はこうしたやんちゃ者の渦巻の間を、言葉どおりに
縫うように歩きながら、しきりに急いだ。
といへば、はや察せられるやうに、口繩坂はまことに蛇の如くくねくねと木々の間を
縫うて登る古びた石段の坂である。