きょうも妻は不相変麦藁の散らばった門口にじっと
膝をかかえたまま静かに午睡を貪っている。
そこへまた彼は
膝の上の新聞紙包みを拡げると、せっせとパンを噛じり出した。
銀の縁のある帽子をかぶり、刺繍のある胴衣を着、
膝ぎりしかないズボンをはいている。
すると、
膝も、腹も、胸も、恐らくは頃刻を出ない内に、この酷薄な満潮の水に隠されてしまうのに相違あるまい。
それが紋附でこそなかったが、見苦しからぬ羽織袴で、しかも
膝のあたりにはちゃんと扇面を控えていた。
それから又僕の隣りにゐた十二三の女生徒の一人は若い女教師の
膝の上に坐り、片手に彼女の頸を抱きながら、片手に彼女の頬をさすつてゐた。
先生は、警抜な一章を読み了る毎に、黄いろい布表紙の本を、
膝の上へ置いて、ヴエランダに吊してある岐阜提灯の方を、漫然と一瞥する。
さうしてその羽根楊子へ湯呑の水をひたしながら、厚い
膝をにじらせて、そつと今はの師匠の顔をのぞきこんだ。
彼はただじっと両
膝をかかえ、時々窓の外へ目をやりながら、(鉄格子をはめた窓の外には枯れ葉さえ見えない樫の木が一本、雪曇りの空に枝を張っていた。