坐って
膳に向うのでなければ少年は食事と思わなかった。
内
膳正は屠蘇を汲み乾すと、立ちながら、
膳を踏み砕いて、必死の覚悟を示した。
それに釣りこまれた良平もいつか
膳を置きざりにしたまま、流し元の框にしゃがんでいた。
そこで内供は弟子の一人を
膳の向うへ坐らせて、飯を食う間中、広さ一寸長さ二尺ばかりの板で、鼻を持上げていて貰う事にした。
その十三日の午後四時頃に、赤坂の半七老人宅を訪問すると、わたしよりもひと足先に立って、蕎麦屋の出前持ちがもりそばの
膳をかついで行く。
いつもの座敷へ通されて、年頭の挨拶が式のごとくに済むと、おなじみの老婢が屠蘇の
膳を運び出して来た。
多吉の附き合いに二、三杯飲むと、もう半七はまっ赤になって、
膳を引かせると、やがてそこへごろりと横になってしまった。
主人はその
膳の前に紋付の羽織の襟を正しうやうやしく座つて白木の箸を取り上げた。
「……しかも、その(蕎麦二
膳)には不思議な縁がありましたよ……」