されば竹に囀る
舌切雀、月に住む兎の手柄、何れか咄に洩ざらむ、力をも入れずして顋のかけがねを外させ、高き華魁の顔をやはらぐるも是なり。
画の外余の尤も好みしは昔物語りにて、夜に入ればいつも祖母なる人の袖引きゆるがして
舌切雀のはなしし玉へとせがみしといふ。
それを享樂しつゝ、しばらくつぶつてゐた眼を開くと、門内の前庭に焔を洗つたやうなカンナの花瓣が思ふさまその幅廣の
舌を吐いてゐた。
「いかなだんなでも、今の隠し芸にゃ、ちょっと
舌をお巻きなすったようでしたね。
みごとにまた右門得意の肩すかしに出会って、伝六はちぇッと
舌を鳴らしながらそっぽを向きましたが、反対に右門はおおまじめでありました。
その空には、
舌切雀のかすかな羽音がして、あけ方の半透明な光も、何時か少しづつひろがつて来た。
梅「寒いから一杯お飲べかえ、沢山飲むといけないよ、二合にしてお置よ、三合に成ると少し
舌が廻らなくなる、身体に障るだろうと思って案じられるから」
ああ、その水の声のなつかしさ、つぶやくように、すねるように、
舌うつように、草の汁をしぼった青い水は、日も夜も同じように、両岸の石崖を洗ってゆく。
だが、彼女は職業の場所に出て、好敵手が見つかると、はじめはちょっと呆けたような表情をしたあとから、いくらでも快活に喋
舌り出す。