船室へ乗りあひの衆がおりて行つて後も、前後四時間かうして無言に青空ばかり仰いでゐる私の側に、海の面きり眺めてゐた。
若い頃から欧洲航路の客船で
船室係をしてゐた経験が、船をおりてからもかういふ仕事をえらばせたのである。
だからやかましくいうと、ポチは密航していることになる)玉太郎におわれて通路をあちこちと逃げまわり、ついにラツール氏の
船室にとびこんだ事件にはじまる。
この
船室は、十八人室で、ミマツ曲馬団の一行で、しめていた。
階下の輪転機のまわり出す度にちょうど小蒸汽の
船室のようにがたがた身震いをする二階である。
わたしが語り終わると、彼は私がしばしば目撃した、かの鉄のような決断の色を顔に浮かべて、数分間は狭い
船室をあちらこちちと足早に歩きまわった。
底に木を打った草履をひきずッて、食物バケツをさげた船員が急がしく「おもて」の
船室を出入した。
もっとも、さっき甲板ではちょいと姿を見かけたが、その後、君の
船室へもサロンへも顔を出さなかったので、僕はもう帰ったのかと思っていた。
時はもう冬の最中で故郷に近づくに従って天気は小闇くなり、身を切るような風が
船室に吹き込んでびゅうびゅうと鳴る。