あの女子たちは百合や
薔薇をつんで、花冠に致します。
薔薇よさはにほひな出でそあかつきの薄らあかりに泣く女あり
それはまた事によると、祭壇の前に捧げられた、水々しい
薔薇や金雀花が、匂っているせいかも知れなかった。
そうしてさらにまたある一団は、縦横に青空を裂いている
薔薇の枝と枝との間へ、早くも眼には見えないほど、細い糸を張り始めた。
折々公爵は、クサンチスが朝早く起きた頃に、
薔薇の花で飾つた陶器の馬車で、迎へに来た。
何をする気にもならない自分はよくぼんやり鏡や
薔薇の描いてある陶器の水差しに見入っていた。
この天国はもちろん茨の中に
薔薇の花の咲いた天国であろう。
第一あなたさへ平戸あたりの田舎生れではありませんか? 硝子絵の窓だの噴水だの
薔薇の花だの、壁にかける氈だの、——そんな物は見た事もありますまい。