旗野の主人果てて後、代を
襲ぐ子とても無かりければ、やがて其家は断絶にけり。
それより以前にも、垂仁紀を見ると、八十七年、丹波の国の甕
襲と云う人の犬が、貉を噛み食したら、腹の中に八尺瓊曲玉があったと書いてある。
Kの如き町家の子弟が結城紬の二枚
襲か何かで、納まっていたのは云うまでもない。
——恁うした不愉快な感じに
襲はれる毎に、私は何の理由もなき怒り——何処へも持つて行き処の無い怒を覚える。
己はぼんやりして、悲しい物懐しい旅の心持が、冷やかに、残酷に
襲つて来るのに身を任せてゐた。
人の住む島か魔の棲む島か——あら、あの音は——奇麗な泉——ゴリラの
襲來——水兵ヒラリと身を躱はした——海軍士官の顏
ぢつとしてゐても動悸がひどく感じられて鎮めようとすると、尚ほ
襲はれたやうに激しくなつて行くのであつた。
圭一郎は今も衝動的に腫物に觸るやうな氣持に
襲はれて開封くことを躊躇したが、と言つて見ないではすまされない。
「一人女」「一人坊主」は、暴風か、火災か、難破か、いづれにもせよ危險ありて、船を
襲ふの兆なりと言傳へて、船頭は太く之を忌めり。
千山萬岳疊々と、北に走り、西に分れ、南より迫り、東より
襲ふ四圍たゞ高き白妙なり。