人物の一言一語、一挙一動が醸しだすイマアジュの重畳は恰も音楽の各ノオトが作り出す
諧調に似た効果を生じることに気づくであらう。
結論を急げば、戯曲の本質的「美」は、人生の真理を物語る活きた魂の最も
諧調に満ちた声と姿、最も韻律的な動き(響きと云つてもいゝ)の中に在るとは云へないか。
町辻でうめき、酒場でうめきしてゐるそのうめき声にひとりで節が乗つてとう/\人間のうめきの全幅の
諧調を会得するやうになつたのだ。
雜然たるそれらの物音もこゝではある一つの
諧調をなして流れて來るのである。
雑然たるそれらの物音もここではある一つの
諧調をなして流れて来るのである。