ここから十里ばかり先に呂という家がありまして、そこは閑静で綺麗な上に、
賊をふせぐ用心も出来ていますから、そこへ行ってお泊まりなさるがよろしゅうございます。
袋猫々探偵なら、奇
賊烏啼を扱うには誰よりも心得ているだろうから、奇
賊をして繭子夫人に一指をも染めさせないであろうと、善良にして慈愛に富む夫は述べたことだった。
それは猫力というやつであったが、彼はこの猫力でもって、いずれ近いうちにめでたく、怪
賊烏啼めを刑務所の鉄格子の中に第二封鎖せんことを期しているのだった。
奇
賊烏啼天駆と探偵袋猫々の睨み合いも久しいものである。
憲政の神樣が一朝にして憲政の
賊に早變りなし、清節を看板の人が、その反對の事實を新聞紙上に素張拔かれたりする。
(にやけた奴ぢや、國
賊ちゆう!)と快げに、小指の尖ほどな黒子のある平な小鼻を蠢かしたのである。