このような歴史的比較研究によって我々の現代の見解の如何に健全であるか、いかに信頼するに
足るかということを一層痛切に感得することができるであろう。
分らないのではなく結局、世人を首肯させるに
足るような具体的な原因はないと言うのが、本当だろう。
「道」の如きは、あれ一つだけで仙子氏の藝術家としての存在を十分に可能ならしむるに
足ると思ふ。
語を変へて之を言へば闘争、欝屈、不平、短気、迷想、剛直、高踏、逆俗等ありて数奇不遇不幸惨憺の境界に誘ふに
足る源因なかるべからず。
予は唯、竜動に在るの日、予が所謂薔薇色の未来の中に、来る可き予等の結婚生活を夢想し、以て僅に悶々の情を排せしを語れば
足る。
おぬしほどの力量があれば、城の二つ三つも攻め落さうは、片手業にも
足るまじい。
これは勿論私にも、幾分ながら同情を惹くに
足るものには相違なかつた。
附録の諸篇は、僕が折にふれて種々の雜誌に出した演説、論文等の中から、本論の不備を補ふに
足る分だけを寄せ集めたのである。
此伝の如きは誠に社会現時の程度に適し、優に娯楽の具と為すに
足る。
それは高い窓からも折々うかがわれる風景であったが、ほんの一瞬間ではあるが、それは自分の現在の境遇を忘れさせてくれるに
足るものであった。