内膳正は屠蘇を汲み乾すと、立ちながら、膳を
踏み砕いて、必死の覚悟を示した。
が、草や竹の落葉は、一面に
踏み荒されて居りましたから、きっとあの男は殺される前に、よほど手痛い働きでも致したのに違いございません。
そこで※陀多は早速足を挙げて、
踏み殺そうと致しましたが、「いや、いや、これも小さいながら、命のあるものに違いない。
すると、角顋の先生は、足をうんと
踏みのばしながら、生あくびを噛みつぶすような声で、「ああ、退屈だ。
その晩もとうとう寝床を起きてしまいまして、幸い月夜でもあり、旅館を出て、錯落とした松樹の影を
踏みながら砂浜へ出て行きました。
ところがこの二つの道に
踏み跨がって、その終わるところまで行き尽くした人がはたしてあるだろうか。
しかし成瀬はまだ煙草を啣へてゐたから、すぐにそれを下へ捨てると、慌てて靴で
踏み消した。
なれどもころび候実証無之候へば、右証明を立つ可き旨、申し聞け候所、篠、無言の儘、懐中より、彼くるすを取り出し、玄関式台上へ差し置き候うて、静に三度まで
踏み候。
時々は宮のまはりにある、柏の林に歩みを運んで、その小さな花房の地に落ちたのを
踏みながら、夢のやうな小鳥の啼く声に、耳を傾ける事もあつた。
真夏の日の午すぎ、やけた砂を
踏みながら、水泳を習いに行く通りすがりに、嗅ぐともなく嗅いだ河の水のにおいも、今では年とともに、親しく思い出されるような気がする。