小次郎法師は、別に心にも留めなかったが、不意の笑声に一驚を吃して、和郎の顔と、折敷の団子を見
較べた。
七八年前彼が兄の家から分家して開店した時分私が一寸訪ねたことがあつたが、その時分と
較べてさつぱり品物が殖えたやうにも見えなかつた。
新らしい堂々たる山門に
較べて、本堂はほんの後れ毛のやうに古くてみすぼらしい。
英語やドイツ語は日本語に
較べてたいていの場合に語感が強い。
彼等は、わたくしに
較べて、ずっと賢明ないしは内気であるため、その秘密について告白されないで、普通なみの人間のように振舞っていられるのではなかろうか。
だから苟も従来の誰かの探偵小説が示した最高レベルに
較べて上等でない探偵小説を発表しようものなら、それは飢えたるライオンの前に兎を放つに等しい結果となる。
柳屋の柳の陰に、門走る谿河の流に立つ姿は、まだ朝霧をそのままの萩にも女郎花にも
較べらるる。
それを思うとまったく昔の悪党は小さなもので、今とは
較べものになりません。
部屋をお見せいたすのでしょう」といったが「けれども……あんな部屋」とまた云って私と向う側の貸間札のかかっている部屋の硝子扉を見
較べた。