一生苦労しつづけて死んだ細君の代りに、せめてもに娘にこれが父親の自分が遺すことの出来る唯一の
遺産だといって見せた真剣な対局であった。
伝統の
遺産を持たない代りに、伝統を生むべき者が我等自身だからである。
智子の盲目の夫は北田家の一人息子で、既に両親も早逝して、多額の
遺産と三木雄の後見は叔父の未亡人に世話されていた。
我々が子孫に残す文化的
遺産が非常時以外に通用しないやうなもの、国民生活を低く貧しくするやうなものであつては由々しいことであります。
或る場合には田舎の方に却つて水準の高い文化の
遺産があつて、そこを離れた、近代化した都会のなかで、さういふものが亡びてゐるやうなことも考へられるのです。
彼等は伝統の
遺産を受継いできたが、祖国の伝統を生むべきものが、又、彼等自身に外ならぬことを全然知らないようである。
簡言すれば、戦争騒ぎのどさくさ最中に梨園のこの人を失ったことに依って、日本はその最後の前代
遺産であった「俳優の顔」を、無くしたものではなかったでしょうか。
僕の
遺産は百坪の土地と僕の家と僕の著作権と僕の貯金二千円のあるだけである。
ねえ、そうなれば、だんなはきっと、わたしを
遺産に分けてもらったのを、お喜びなさるにちがいありません。