身形が別に派手でも何でもないが、彼女を見付け出すのは鶏群中の
雄鶏を見出す程容易であった。
昧暗から暁へ移った庭へ、
雄鶏が先へ飛び降りて、ククと雌鶏を呼んだ。
羽や鳥冠が立派で、その上
雄鶏などはすましてゐるやうな様子をしてゐるので可笑しい。
その証拠には、
雄鶏はときどき間の抜けた様子をして、のどもさけよと叫び立てるのでした、——『結構ドコロジャアリャシナーイ※』
雄鶏昼鳴いて村叟の眠を覚さず、野雀軒に戯れて児童の之を追ふものなし。
雄鶏は外に出でゝ食をもとめ、雌鶏は巣に留りて雛を温む。