消え去るあとからあとから、藍墨の掃毛目の空は剥
離して雲を供給する。
二人は、マッチ箱の裏に書かれた指令文を読み終ると、合わせていた額を
離して、思わず互の顔を見合わせた。
おなじ蒔絵の台を
離して、轅をそのままに、後から押すと、少し軋んで毛氈の上を辷る。
が、一方ではまたその当然すぎる事が、多少の反撥を心に与えたので、私は子爵の言が終ると共に、話題を当時から引
離して、一般的な浮世絵の発達へ運ぼうと思っていた。
森君は犬の脚を高く上げて、爪の間に西瓜の種ほどの大きさに脹れている蒼黒い蝨をつまんで、力一杯引張って漸くの事で引
離して、地面に投げつけると踏み潰した。
辻川博士はふたたび世間と隔
離して蜘蛛の研究をはじめることができた。
金魚と子供とは、いつか彼には
離して考へることの出来ないものになつてゐた。
それがときどき演奏者の意志からも鳴り響いている音楽からも遊
離して動いているように感じられた。
自己を軽蔑する人、地から足を
離している人が、人生について考えるというそれ自体が既に矛盾であり、滑稽であり、かつ悲惨である。