白い吹雪が大原の中を、点々と
飛ぶ、大きく畝ねる波系が、白くざわざわと、金剛杖に掻き分けられて、裾に靡く、吹雪は野菊の花で、波系は芒の穂である。
一九三五(昭和十)年 五月に『小熊秀雄詩集』を耕進社から、六月には長編叙事詩集『
飛ぶ橇』を前奏社から刊行。
この寒い時節に蝶々が生きている筈がありませんや、おまけに暗い晩に限って
飛ぶというのは、どうもおかしいんですよ」
なにしろ十両以上の金高になれば首が
飛ぶという時代ですから、悪い奴も自然こそこそが多かったんですね。
なにしろ雪のように白い蝶の群れが幾万となく乱れて
飛ぶのであるから、まったく一種の奇観であったに相違ない。
干潟を鳴きつれて
飛ぶ千鳥の声のみ聞こえてかなたこなた、ものさびしく、その姿見えずとみれば、夕闇に白きものはそれなり。
空には灰を吹きたてたれば、火の光に映じてあまねくくれなゐなる中に、風に堪へず吹き切られたるほのほ、
飛ぶが如くにして一二町を越えつゝ移り行く。