親
鱒は背が青銀色で腹の方へ白く、紫の艶というものがない。
それには週末休日のゴルフと漁季の
鱒釣りとには依然親愛の情を持って御交際するが、その他の一切に関しては御交渉を絶ち度いという申出でだ。
鯉や鮒は、水が冷えれば冷えるほど骨が硬くなる魚だが、鰍は
鱒科の魚と同じように、水の温度が低くなるほど、骨がやわらかとなるのである。
ことに
鱒科の魚は油になじみがよく、天ぷら、ふらいにすると、やわらかな甘味が舌端に溶ける。
だから、利根川筋では、昔から若鮎を餌に使って日本
鱒を釣っていた。
鱒も山女魚も鮎も同じであるが、冷たい水に棲んでいるものほど、頭と骨がやわらかい。
山女魚は、自分たち仲間が、産卵をはじめると、やはり
鱒が産卵場についた場合と同じように、その卵を盗み食うのである。
僕は
鱒の捕れる時節に招待されたのであるが、まず初夏の時節をよしとして訪問したのである。